2012年11月2日金曜日

ノート no.39

大変ご無沙汰をしております。
朝晩と急に寒くなってまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
お前がどう過ごしてたんだよと言われますと、ウッと詰まってしまいますが…。

竜王戦に負けて早二か月、幾日も経ってない感覚ですから相変わらず成長してないのでしょうね。予想とは違う戦形になったものの、準備をした挑戦者決定戦第三局は「自分の本当の力が出るな」と結果以外でも不安がありましたが、楽しみでもありました。

あれが実力…と素直に認めれば救いがあるかもしれませんが、もう少し自分に期待をしていたので予想外の弱さに思考停止してしまい、己のことが一番わかってないのか、わかりたくないのか。 ・・・今日これを書く前に見た竜王戦第二局は、偶然ですが敗れた将棋と似た形になってました。
ただ挑決第3局と違ったのは、丸山先生が飛車先を後回しにして少し工夫されていたところです。頭の中で成立するかどうかわかりませんが少し思っていた順で、両者予想の範囲内なのだろうなと思いつつ、それをお互い承知の上で踏みこんでいくところに、「自分が良いと思った手を指す」という当たり前のことを実行し続ける強さを感じ羨ましく思います。 自分を信じることは簡単と言えば簡単ですし、意外に現実を直視していない私には難しいと言えば難しいです。

明日は六連勝と充実してる方との対局。苦戦は必至だと思いますので、「安易に勝ちたいと思ってボロ負け」に気をつけ、「どこまで負けないよう粘り強く指せるか」が勝つチャンスがあるかないかの差になるかなと思います。

さてまた終わった後に書きます。 勝っても負けてもシンプルに。

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昨日の戦いは勝機は何度か訪れましたがチャンスをものにできませんでした。
粘り強く指すを意識しての戦いで、出来たところもありましたが、急に優勢になり一瞬喜んでしまい、相手のほうが最後の踏ん張りが上でした。
局面は構想が上手く行き、勝ちやすいところも多かったのですが、将棋の内容以上の差があり完敗でした。

昨日シンプルにと書いてましたね。
私のほうが弱かった、ですね。

ふらふらと歩きましたがほんとに夜は冷えてきました。
皆様も風邪など引かれないようお気をつけください。
では失礼いたします。

2012年8月15日水曜日

ノート no.38

暑い夏もお盆に入り終盤戦、皆様いかがお過ごしでしょうか。
残暑お見舞い申し上げます。

私の方はしんどい時もありましたが、おかげ様で夏バテせずに明日の試合を迎えることができました。 これは出雲でいただいたおそばや、王位戦長崎対局での長崎チャンポンなどの美味しい食べ物のおかげかもしれません。
いろいろお世話になりっぱなしなので将棋でせめていい将棋を!と思いますが、勝ったり負けたりで不甲斐なく…

  勝った時はふらふらとなりながらなんとかですが、負けた方は完敗に近く、力負けと言われても力を出しての結果なので致し方なしであります。
「もっと強かったらなぁ」とは思いますが、「もっと出し尽くせたらなぁ」と思う時もあるのでまだまだ未熟なようです。情けなくもありますが救いでもあります。

将棋は勝負なので、楽しみ、期待、怖さ、不安などありますが、試合あればこそなので、手を震わせながら一手一手指せれば幸せかなと思う今日の移動中。明日の盤の前でそう思えるか否や?

さてお盆といえば移動が大変で、疲れたりする方もいらっしゃると思います。
夏もあと少しですが、油断なくご自愛なさってください。

では楽しんだ夏になりますように。

2012年7月29日日曜日

ノート no.37

暑中お見舞い申し上げます。

大変暑くなり、気持ち食欲も少し減ったかなと思う今日この頃ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
さて「食欲が落ちた」は、今お腹を叩いたらポヨンと跳ね返ってきましたので勘違いのようで、私めの方はいたって元気のようです。

明日は東京対局で、現在移動中です。プレッシャーがないと言えば嘘になりますが、そのくらいで無事迎えられることはよかったと思います。

先日の順位戦は完敗で不安材料だらけ。まあ全体的に甘いところが出てそれが実力だと思う次第です。
苦戦の要因は作戦など甘えから来るものでしたが、敗因は、苦しみ悩み抜くことに耐え続け難しくなったと思った所で、「簡単には勝てない」ともっと悩み抜くことが出来たのに、時間を気にした甘さと、勝ちであるという「願望」から安易に勝ちにいったことでした。自分に都合の悪いように考え戦わないといけないのは十分理解しているつもりでしたが、実際は理解できていないみたいですね。間違えた後もせめて最善で迫り一手違いの攻防をお見せできれば良かったのですが・・・情けないところです。

さて「言うは易し行うは難し」ですが、明日は力を使い果たし前回の反省点も克服したいものです。 良い将棋を指してご覧いただければ幸せですが。果して笑うや泣くやら。
 
皆様も暑くて大変ですが、体調にお気をつけください。
良い夏になりますように。

2012年6月13日水曜日

ノート no.36

今晩は。

京都で行われた名人戦は運営の方々とファンの皆様方により大変な盛り上がりを見せました。今をもって久しぶりにいい二日間だったなと思います。ありがとうございました。

前回、中途半端な書き込みをして早半月。
状況を変えられたわけではないので、逃げ回っておりましたが、ご指摘の通りトップの方々は何年もかけて築きあげたもの。悪いと言ってお腹も弛んできた30代が逃げても様になりません。数ある欠点の中でも、逃げは厄介で早急な課題であります。

さて、緩むぞと思った時の対処法という下りで終わりましたが、実は大したことはなく、ただ空いてる日に研究会の約束を全部いれて一息つきにくくする作戦です。

結論から申しますとこの作戦は意味がありません。
プロ棋士の研究会は本来、試合に勝ちたい、技術を向上させたいといった自分の壁を破るため緊張感あるもの。 私のような、将棋に触れて下に落ちないようにするものではありません。
事実、安易な研究の結論を出して試合で思惑通り進めるも、厳しくその後の手順を読んでみると間違っていて、己の甘さを後悔しました。
中途半端な知識はプロの戦いでは1番危険なのは皆知っているのですが…。
私を含めて安心を人は求めるのでしょうか。
安心、安定はこの世界にあるはずないのに。
弱っていると砂漠の蜃気楼の如くオアシスにでも見えるのかな。

勝負が終わる最後まで勝ちと思わない。上の方に多いです。
ちょっと良くなるとすぐに勝ちだと思う。私みたいに五割付近のプロに多い。
どこかで最後は負けると思っている。 たぶん厳しい結果が待ち受けていると思う。

明日は順位戦開幕戦。12連勝目指すと応援して下さる方に言いたいですが、この状況で迎えてしまいました。
これが実力。 ただ有り難いことにこうして愚痴のようなものを書かせていただき、(皆様に甘えてしまってすみません)最後まで勝ちと思わないという気持ちは守りたいです。

ありがとうございました。  

2012年5月30日水曜日

ノートno.35

大変ご無沙汰をしております。
暑さが厳しくなってまいりましたが、皆様元気でお過ごしでしょうか?

私の方は元気ですが、何か一本ネジが足りないような感の今日この頃です。
自身がそう思うのですから、他人様がみたら二本も三本も足りないことでしょう。

今は、明日から名人戦第五局が行われる京都へ向かっているのですが、最高峰の方達と何が違うのか足りないのか・・・せっかくの機会なので全力で感じとりたいと思います。
すぐに感じられると、現地で大盤解説をさせて頂くので、それを言葉にしてお伝えできて嬉しいのですが、 戦っているレベルが違いすぎて感じ取れないことがないように祈ります。

さて、「後悔は意味がないが、反省は意味がある」と聞いたことがありますので、自分自身でも4月、5月をアバウトに振り返ってみます。

4月前半は気が張り詰めてた気がします。 上手くできず悔しいこともあったような気もいたしますが、まあいいでしょう? というかここをダメにしてしまうと記憶に残る私の人生の大半が反省になってしまいますので、御容赦ください。

4月後半は研究会など予定はぽつぽつ、試合はなし・・・少しホッとしている自分がいたことは事実でございます。 「ここで緩んではいかん、ここを試合以上のテンションで過ごすことができるかが上の人達との戦うスタートラインに入る勝負」と思ったのも、記憶にございます。
最初の誘惑、自分への言い訳はどこだったか、あとはコロコロと緩んで勝負は…完敗。
反省は、勝負どころと思った時に安易な手をしてしまったところか、将棋だとこういう所で苦しんで決断した時の方が良い結果になりやすいが、普段もそうなのか。

5月前半、私もこの性格と五年くらい付き合ってるので、対処法…ここで前夜祭が始まりましたので一旦筆を?おいて、5月後半を明日から頑張って締めくくりたいと思います。

前夜祭はすごい熱気で皆様に盛り上げて頂いてありがたいなと感じた次第です。 その後も夜までいろいろな面白いお話が聞けて、明日からの解説など頑張ろうと改めて思う一日になりました。

明日からは書ける時間はないので、中途半端な続きは終わってまた反省したいと思います。 久しぶりの更新がこんなのでいいのかなと思いつつ、失礼いたします。

2012年4月10日火曜日

ノート no.34

大変ご無沙汰をしております。

私がたこやきノートの更新をサボってる間にいつのまにやら寒い冬もすぎ、我々プロ棋士にとっても新たな期になりました。

前期は前半の竜王戦くらいしか見せ場はなく(一つあったのが大きな救いですが)、さらに後半は内容、勝敗ともに「しっかりしろよ」と時を戻せるなら優しい皆様に代わって言ってやりたいところ。
まあ相手も強いですがそれを差し引いてももっと勝たないと、ですよね。

ようやく春になり桜も満開の陽気も、我々プロ棋士にとっては勝って対局があるのが一番の陽気。
そうでなければ寒いものです。

明日の竜王戦のため移動中ですが、勝って心に春の訪れを十分感じたいこの頃です。
相手の橋本八段は充実してて、この2戦は競り合いで言い訳のしようがない力負け。 強いです。
明日も大変なのは間違いないですが、厳しい戦いになる準備?覚悟はできました。
さてどうなるものやら。

話は変わりますが、先日のマイナビ女子オープンにはたくさんの方にお越しいただきありがとうございました。 立会があまりに頼りないので、周りの方々にたくさん助けていただきました。それではいけないのですが…
皆様に挨拶する余裕がないのも含めて反省と次の課題は残してしまいましたが、おかげさまで盛り上がりを見せて第一局が終了いたしました。ありがとうごさいます。

将棋の方は、上田女王が押し切るかと思われた展開から長谷川さんが勝負手で追い上げるといった、意外な展開でしたが、ぎりぎりになり、第二局も楽しみになったと思います。
二人とも普段は可愛らしい印象ですが、対局中は普段と違い終盤になるほど顔が紅潮して目が勝負師になってまいります(勝手な私の印象です)
将棋とともに二人の全力の姿を応援して見ていただけたらと思います。

私も気持ちは誰にも負けたくないものです。

私の桜は咲くのかな?
明日は花咲かじい様になりたいです!

では。

2012年2月21日火曜日

ノート no.33

ご無沙汰をしております。

インフルエンザや風邪が流行り、周りの方も何人もかかっておりますが、皆様は大丈夫でしょうか?
こちらは幸運なことに今のところ大丈夫で、今週の王将戦・棋王戦、現地での大盤解説はトッププロの試合をわかりやすくお伝えできたらと思います。
少し緊張してきましたが、元気を出して明るくやっていきますのでよろしくお願いいたします。

さて話し変わって、30代に入ったなと思いましたら、あっと言う間に一年が過ぎておりました。
これからますます早くなるよと先輩に言われていましたが、冗談で笑い流せなくなりそうです。
結果を残せず時が過ぎるのは寂しいですね。
昇級する目も残すことが出来ず、応援してくださる方には申し訳ありませんでした。
来期昇級するためにも最終戦、全力を尽くします!

結果もなにもお返ししてないのに、温かく応援していただいて、お祝いをいただいたり、指導将棋に行かせていただいた先で用意して下さったケーキで十年ぶりくらいにロウソクを吹き消したり…と恵まれた年の始まりを迎えさせていただきました。
せめて一つ以上の上を目指し、期待に応えれる棋士になります。
なりたいといつも書くのですが、自分に甘いのがなかなか治らないので言い訳できないように。

個人的には、力を出し切ることと、「ありがとう」「ごめんなさい」が素直に言えるようにもなりたいです。

皆様もまたお会いした時に今年決めてることありましたら教えてくだされば幸いです。

いつも 期待に応えずごめんなさい。
いつもありがとうごさいます。

2012年1月13日金曜日

ノート  no.32

(対局前夜)
寒中お見舞い申し上げます。

皆様ご無沙汰をしております。
最近よくニュースなどでインフルエンザなどの話題などがありますが、大丈夫でしょうか。
私の方はよく食べて運動不足気味なので少し太ったくらいであります。

初詣は地元にある、人があまりいない場所へ変な時間に行きました。まだ人混みのある所に行っていないので、風邪が移る心配もありません。

心配ごとと言えば、何回引いても大吉の出ることのないおみくじ…ではなく、研究会で内容と結果で散々にやられているくらいであります。
…それがまずいのですが まあ明日久しぶり試合があり、それに勝てば全て良しですので簡単なこと。
と強がって今日は寝ます。明日終わって続きは書きたいと思います。 明日大吉になりますように。

(対局翌日)
……ホッとしてます。
嬉しくて、ご馳走になった酒席でも、喜んでばかりで気遣いができず(いつもですが^^;)気遣いをしてもらい失礼してしまいました。

一流の方は目先の勝ちに小躍りしたり、負けに流されたりしないと思いますので、気を引き締めたいと思います。

ただ言ったそばから浮かれることを、今日一日許していただきたい。
その甘えが一日、二日、一月、一年となって、今まで失敗してきてるだろうが…とおっしゃってくれるな私よ。
久しぶりの試合…やはり棋士は、対局で指す喜びと充実が何物にも変えがたい。
そして未熟で不安で不安定な日々を過ごしたならば、上手くいったときには、安堵感と湯を沸かすとき小さな気泡が少しずつたっていくようなフツフツとした喜びが与えられる。
小人よと言われても否定はしない。小人は嫌だけど、喜べるなら良かったとも思う。


勢いで恥ずかしいことを書いた気がします。
読み返すと消してしまうかもしれませんので、このまま送信します。
読み苦しく意味わからないところがあると思いますが御容赦ください。

では皆様風邪など召されぬよう、お気をつけください。